南幌町子ども室内遊戯施設 はれっぱ
雪の多い北海道で子どもたちが通年において屋内で遊べる施設として、大和リースを代表企業とする企業グループが公民連携による整備を行った。
施設名称『はれっぱ』は、南幌小学校の児童が「晴れた日の原っぱで遊ぶ様子をイメージして考えた」が審査会で最優秀賞として選ばれた。優秀賞の『きゃべっちパーク』はそのまま室内の遊戯エリアの名前に採用されている。
サインに南幌町の公式キャラクター『きゃべっち』がふんだんに用いられ、木架構、木仕上げ、木遊具とともに親しみやすさを演出している。
遊戯室はスパン約20mであるが、樹状方杖組柱により左右3.64mずつ方杖で支持、中央9.1mを張弦梁とすることで、端部梁を2本-120x540、中央の張弦梁を上弦材120x510、束および束を120x120とし、組柱を柱2本-120x300+方杖3本-120x300で構成し、一般流通断面集成材のみで構成した。接合部も柱脚を除き、ボルト、ビス、住宅用梁受金物によりローテク・ローコスト化を実現した。
2か所に十字断面状の中柱を設け、中央柱と4本の方杖により組柱を構成、合計6架構の張弦梁を無くし、ローコスト化を図った。
屋根形状に合わせて梁・方杖の角度が少しずつずれるため、HPシェル状のうねった架構となることが特徴である。
合わせ梁は接合部が簡素になる反面、ウッドタッチによる圧縮力伝達をボルトで行うため、特に3枚・5枚合わせとなる樹状方杖組柱のボルト・ドリフトピン挿入は施工時の苦労を伴った。しかしながら、構造設計者(山脇)・大工(厚浜木材・石亀工務店)・プレカット(ニッショウ)の組合せは他の5件ほどのプロジェクトで協働しており、難易度の高い施工を可能にする技術の信頼性が高いため、設計・施工スピード、工事費予測の練度が高く、結果として、施工品質の向上につながったと考える。
耐震要素は外周部のダブル両面合板壁を配置し、法規上の1.25倍の耐震性能をもたせている。
敷地はN値1~6程度のシルト層が連続する軟弱地盤であるため、地業は柱状改良杭とし、万が一の不同沈下対策とした。18m 付近に圧密沈下の可能性があるが、深度が深く、木造平屋で建物重量が軽量であり、かつ布基礎および土間コンクリートスラブで基礎の一体化を行うことで万が一の不同沈下対策とした。
一部の梁に、地元保育園児の手形が見え、愛される建築になると感じた。